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  水仙一色。 「水仙三ヶ条」といい、季節の移ろいとともに、自然の水仙の姿が変化するのに合わせて花もいける。曲線を生かした理想の姿を描き出した。花器は香炉形。台は真塗り八足花台。
 
-迎え花の心構え思う-


京都迎賓館を内外の賓客が訪れるのに合わせて、迎え花をいけさせていただいています。花をいけるにあたって、遠州流の伝書を読み直し、向かえ花の心構えを再確認してみました。

一、匂ひあしき草花挿さざる事
一、名物の花器に挿す心得の事
一、挿し花床に置やう事
一、庭の模様により花挿す事

など、いくつかの項目があります。いけばなには、長い歴史があり、宗教的なものから始まって、江戸中期から戦前までは、生活の中にしっかり根を下ろし、時々の家庭の行事に合わせて、いける方も、見る方も楽しみを持ちながら鑑賞したものです。
 回廊の花は、雪見障子の連なる長い廊下の突き当たり、晩餐室へ賓客を迎える場所にいけています。回廊の入り口に立ったとたんに、花が視野に入るので、少し大きめの華やかなものを意識しています。雪見障子を上げると、池を中心に庭が見えるので、庭の景との調和も考えます。
和会食棟の大広間「桐の間」の奥にある、約二十畳の広間「滝の間」では、伝書に留意し、床の間という空間を意識できる花を主題にしました。「冬の花王」と称される水仙を、一色で伝統的な生花形式でいけてみました。一種類の花を用いる一色は、変化が少ないだけにきっちりと見せる技術が必要です。曲線の美しい水仙の姿は、浮世絵とともに、外国人たちにも高く評価されました。冬の寒さの中で咲く姿は、凛として、床の間の空間によく会います。
このような、床に飾られたいけばなを見るときは、決めごとがあります。床の前に一畳ほど隔てて座り、掛け物がある場合は観賞し、その後、花の正面に座り拝見するのです。現在は、伝統的な定めや礼儀作法は重んじられなくなったようですが、日本人が長年培ってきた生活態度の中には、大切なものが多くある気がします。
 いけられた花がただ美しいだけではなく、花の生命の中から、私たちの生命の尊さを感じることこそ、いけばなの道だと思います。
 2006年01月30日 京都新聞夕刊より抜粋 文 芦田一馬

 
   
  05.12.20
京都新聞掲載のため
 
 
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